・アプリケーションを高速起動する
高速起動は、その名の通りアプリケーションの起動を高速化する仕組みです。
具体的には、この設定を有効にされたアプリケーションは完全に終了することなくメモリに常駐し続けるようになります。起動にあたっては、見かけ上隠されていたウィンドウが、アクティブになるだけであるため、事実上、タスクの切り替えと同等の速度でアプリケーションが起動したように見える訳です。
なお、高速起動が有効にされたアプリケーションは、前述の通り完全に終了することがありません。そのため終了時に設定を保存するような一部のアプリケーションでは、高速起動が有効になっている間は、設定の変更が反映されないことがあります。
また、当然ながら、この高速起動を有効にすると、それだけシステムのメモリ容量が割かれることになります。
・ルート権限で実行する
アプリケーション実行時にルート(管理者)権限を与えます。
具体的には、root:qpeの権限でアプリケーションが実行されるようになります。
この設定を有効にすると、通常のユーザー権限(zaurus:qpe)でアクセス出来ないファイルでも操作することが出来るようになりますが、反面、システムファイルなどを壊してしまう危険性もあるので注意して下さい。
・アプリケーションをVGA(480X640)の画面に最適化して実行する
SL-A300やSL-B500などのQVGA画面(320*240)を前提としたアプリケーションとの互換のために用意されているオプションです。
このオプションが有効になっている場合、アプリケーションはQVGAの縦画面で起動します。何故か、アプリケーションが縦画面で起動してしまう場合、大抵はこのチェックが有効になっていることが原因です。
なお、ホーム画面の設定で、新規にアプリケーションを登録した場合は、デフォルトでこのチェックが有効になっています。通常のVGA画面(640*480)で、アプリケーションを動作させたい場合は、逆にこのチェックを外すようにします。
アプリケーションのプロパティの各設定項目は、後述のdesktopファイルの内容に従って表示されます。そのため、上記の設定チェックボックスが常に表示されているとは限りません。
/opt/QtPalmtop/apps/textedit.desktop
[Desktop Entry] #Comment=A Text Editing Program #Comment[de]=Ein Textbearbeitungsprogramm #Comment[ja]=テキストエディタ Exec=textedit Icon=TextEditor Type=Application Type[de]=Anwendung MimeType=text/* MimeTypeIcons=TextEditor Name=Text Editor Name[no]=Teksteditor Name[de]=Texteditor Name[ja]=メモ帳 Name[zh_CN]=文本??器 Name[zh_TW]=文字編輯器 Name[ko]=?? ??? Name[hu]=Szoveg- szerkeszto CanFastload=1 Display=640x480/144dpi,480x640/144dpi HidePrivilege=1
上記は標準アプリケーションであるメモ帳のdesktopファイルです。
desktopファイルは、[Desktop Entry]の行から始まります。
その後、各設定項目は、「項目名=設定内容」と言う書式で記述され、基本的に一行一項目の形で列記していきます。
これらの項目はヘッダとなる先頭行を除けば、設定項目の記述は順不同で構いません。さらに、必ずしも全ての項目が必須と言う訳でもなく、必要の無い項目は省略することも出来ます。
なお、シェルスクリプトなどと同じく、desktopファイル中では「#」以降は注釈として扱われます。
また、Qtopia自体が多言語に対応していることを受け、desktopファイルの各項目には複数の言語を設定することが出来ます。
言語コード(ロケール)は基本的にISO639の規定に準拠しており、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
Name[ja]=日本語 Name[en]=英語 Name[de]=ドイツ Name[es]=スペイン Name[hu]=ハンガリー Name[ko]=韓国 Name[no]=ノルウェー Name[pt]=ポルトガル Name[zh_CN]=中国 Name[zh_TW]=台湾
特に言語コードの指定が無い場合は、現在のシステムで規定されたロケールが使用されます。
[Desktop Entry]
ヘッダです。desktopファイルは必ずこの行から始まります。
この行以前に許されるのは空行のみで、注釈を含め何らかの記述がヘッダ以前にあった場合、そのファイルはdesktopファイルとは見なされません。
Name
アプリケーション名を設定します。ここで設定した名称が、ホーム画面でのアプリケーション名となります。
Comment
コメントです。ここに記述された内容が、アプリケーションのプロパティで表示されます。
Type
desktopファイルの種別を設定します。通常は「Applicaiton」を指定します。
また、後述するQTメニューでのみ使われる種別として「Separator」と言う設定が存在します。この設定を持つdesktopファイルはQTメニュー項目のラインとなります。
Exec
実行するアプリケーションの実行バイナリ(ファイル名)を記述します。
なお、Qtopia上のアプリケーションは通常、/opt/QtPalmtop/bin/に配置されます。これ以外の場所に置かれたバイナリは、この項目でフルパスで指定したとしても、実行することは出来ません。
この項目は後述する「Embedded」との排他項目となります。
Embedded
Qtopiaの内部コマンド(?)を指定するもので、前述の「Exec」とは排他項目となります。
現在のところ、以下の四種を確認しています。
network_connect # ネットワーク接続 network_disconnect # ネットワーク切断 show_docview # ファイルランチャ表示 show_contentsview # コンテンツ画面表示 (SL-C3100以降)
Icon
ホーム画面で表示されるアイコンを指定します。
省略した場合はUnknownDocumentsアイコンが使用されます。
MimeType
アプリケーションと関連付けるMIME Content-Type(ファイルタイプ)を設定します。
なお、アプリケーションとファイルの関連づけについては、「Qtopia上でのファイル関連付け」でさらに詳しくまとめています。
MimeTypesIcon
関連付けされたファイルの表示アイコンを指定します。
ここで設定されるアイコンは、あくまでも関連づけファイルについてのもので、ホーム画面に登録されるアプリケーション本体と別のアイコンを用いたい場合にのみ設定します。この項目が省略された場合は、関連付けられたアプリケーション本体と同じアイコンが用いられます。
CanFastload
アプリケーションのプロパティで、高速起動の設定チェックボックスの表示/非表示を設定します。
「0」で非表示、「1」で表示となり、設定項目を省略した場合は、非表示となります。
なお、この項目で設定されるのは、あくまでも設定チェックボックスの表示の有無であり、高速起動そのものを設定するものではありません。
HidePrivilege
アプリケーションのプロパティで、ルート権限の設定チェックボックスの表示/非表示を設定します。
「0」で表示。「1」で非表示となり、設定項目を省略した場合は、ルート権限の設定チェックボックスが表示されます。
なお、この項目で設定されるのは、あくまでもプロパティ画面での設定チェックボックスの表示の有無であり、ルート権限そのものを設定するものではありません。
アプリケーションへのルート権限設定は、後述の/opt/QtPalmtop/etc/privilidge.confで行われます。
NeedSpace
起動時にシステムの空きメモリ容量を確認し、設定された以上の空き容量が無い場合はアプリケーションの実行を中断します。
設定はKB単位の数値を記述します。
System
この項目で「System=1」が設定されているアプリケーションは、終了時にシステム設定の更新を反映します。
具体的には以下のqcopメッセージの発行を検知し、/opt/QtPalmtop/.mimetypes.cacheを生成します。
qcop QPE/System 'mimeChanged()'
ただし、既にmimetypes.cacheが存在している場合は、何もしません。
意図的にmimetypes.cacheの更新を行いたい場合は、qcopメッセージの処理以前に、mimetypes.cacheを削除しておく必要があります。
Display
アプリケーションの画面モードを設定します。
現在、SL シリーズ Zaurus で規定されている画面モードは以下の通りです。
VGA 横 640x480/144dpi VGA 縦 480x640/144dpi VGA 縦・横 640x480/144dpi,480x640/144dpi VGA・QVGA 640x480/144dpi,480x640/144dpi,240x320/72dpi ※注 QVGAモードについては縦画面のみ
ただし、これらの画面モードは、最終的にはソースレベルでのアプリケーションの設定に拠るため、必ずしもこの項目で画面モードが規定されるとは限りません。
参考資料
OnlyWithDisplay
指定した画面モード以外でのアプリケーションの起動を抑制します。
基本的には後述のQTメニューでのみ使われる設定項目のようで、画面モードそのものを指定する「Display=」と異なり、現在のシステムの表示モードに応じて、メニュー項目の表示を抑制させる働きをします。
具体的には、VGA画面を持つザウルスで、QVGAモード時に機能しない項目(縦横表示切替や拡大/縮小等)をメニューから隠すために使われています。
なお、抑制する画面モードの指定は、「Display」と同じ指定で行われるため、QVGAモードでの抑制の他、縦横それぞれの画面モードでの抑制も可能です。
デフォルトのタブ構成
/opt/QtPalmtop/apps/Applications/ ---> アプリケーション /opt/QtPalmtop/apps/Games/ ---> ゲーム /opt/QtPalmtop/apps/Settings/ ---> 設定 ※注 「ファイル」、及びSL-C3100以降で追加された「コンテンツ」タブに関しては例外
各タブの名称とタブアイコンは各ディレクトリ毎に置かれた.directory中で設定されます。.directoryが存在しない場合でも、desktopファイルが置かれればタブは有効になりますが、その場合タブ名は空白となります。
タブ中のアプリケーションの並び順は、同じく各ディレクトリ毎に存在する.orderファイルで記載された順番となります。また、.orderが存在しない場合は、ファイル名昇順となります。
/opt/QtPalmtop/apps/直下に配置されたdesktopファイルは、このQTメニューの項目となります。逆に言えば、ここにdesktopファイルを作成することで、任意の項目をQTメニューに加えることが出来ます。
以下は、QTメニューへの項目追加のサンプルパッケージです。
なお、/opt/QtPalmtop/apps/直下にも.orderファイルが存在しますが、ここに置かれた.orderの設定はアプリケーションの並び順では無くタブの並び順の指定になります。
QTメニュー項目の並び順については、常にdesktopファイルのファイル名昇順となります。そのためメニュー項目を任意の順番に並び替えたい場合には、desktopファイル名のリネームで対応することになります。
$ qcop QPE/TaskBar "reloadApplets()"
参考資料
このprivilege.confのエンコードはSLザウルスを通じて一意のものであるため、追記された設定行をコピーすることで、特定のアプリケーションのルート権限をパッケージのインストール時などに設定することが出来ます。
なお、このファイルのパーミッションはroot:qpeでなければいけません。
過去LOG(暫定版)