SL-C760 は標準で MPEG-4 が再生できますが、肝心の動画データは別途対応した機器を購入するか、PC 等で MPEG-4 の動画データを作成してやる必要があります。
これは面倒なので、DVD レコーダー等で録画したものをそのまま見れないかと思っていたら、MPlayer(Kino2 にも含まれる)は MPEG-2 も再生できるじゃないかと気付いたのでやってみました。
東芝のハードディスク& DVD レコーダー RD-X3 です。DVD-VR フォーマットを使用した 1 コマ単位の無劣化編集機能と、ハードディスクと DVD-RAM の間を無劣化で自由にダビングできる部分が気にいって購入しました。
もちろん、DVD-R への DVD ビデオ作成も可能です。
この他に録画レートをマニュアルで細かく指定でき、8.0Mbps 以下のどんなレートでも、音声部分をリニア PCM で録音できるので、今回はこれで最低の 1.4Mbps、リニア PCM の設定を使用して番組を録画します。
録画した番組のみを DVD-RAM に高速ダビングし、これの DVD_RTAV フォルダに含まれる VR_MOVIE.VRO というファイルを PC 等を使って SD カードや CF カードにコピーします。
MPlayer は阿川さんの mplayer-w100 1.0rc2.1 と必要なライブラリ群をインストールしておきます。
ターミナルから以下のコマンドで再生します。
これは SD カードのルートディレクトリに VR_MOVIE.VRO をコピーした場合の入力例です。
mplayer -really-quiet -framedrop -ac dvdpcm -vop flip,mirror /mnt/card/vr_movie.vro
-vop オプションをつけないと天地逆に再生されるので、flip で上下反転、mirror で左右反転をしています。ただ、-vop オプションはパフォーマンスの低下も招きますし、せっかくのオンスクリーンが正しく表示されなくなるので、ビューモードにして上下回転させて見るのが良いかも知れません。
mplayer -really-quiet -framedrop -dr -double -ac dvdpcm -rotate vop=1 -fs /mnt/card/vr_movie.vro
-vop オプションをつけないと左 90 度回転した状態で再生されるので rotate=1 で右 90 度回転をしています。また、-geometry オプションによる表示位置の指定が何故か正しく動作しないので、-fs オプションで画面中央に表示されるようにしています。こちらもパフォーマンスを上げたければ、-vop オプションを指定せず、ビューモードにして横回転させて見れば、オンスクリーン表示なども正しく行われます。
尚、今回は音声部分にリニア PCM を使用しているので、音声再生のライブラリに dvdpcm を指定しています。Dolby Digital AC-3 を使用した場合は a52 を指定すれば再生できますが、恐らく浮動小数点演算を多用しているのか、途切れ途切れにしか再生できず、実際は実用にならないと思われます。
Kino2 では音声再生に使用するライブラリの指定が正しく動作しませんので、FFMPEG を指定した時に dvdpcm が指定されるようなパッチを作成してみました。
上記パッチをインストールした後、Kino2 を起動して設定から音声再生のライブラリに FFMPEG を指定します。あとは通常と同じように vr_movie.vro を指定して再生します。
尚、このパッチは拙作の Kino2 Windows Media Audio パッチとは同時に使用できませんので、どちらかをアンインストールしてから使用したいものをインストールするようにしてください。
RD-X3 の 1.4Mbps、リニア PCM で録画した番組は、MPEG-2、352×240、29.97コマ/秒、リニア PCM 48KHz と結構 SL-C760 で再生するには厳しいスペックですが、意外にちゃんと再生できます。
もちろん、引っかかりは結構ありますが、SL-C700 で MPEG-1 を再生するよりはスムーズに見えます。
阿川さんの MPlayer と Kino2 では、ターミナルを経由しているオーバーヘッドもあるせいか、Kino2 の方が若干パフォーマンスが良いようです。
完全に綺麗な再生が出来る訳ではないものの、DVD レコーダーで録画した番組をそのまま見ることが出来るのは凄く便利です。データサイズも 1.4Mbps のリニア PCM ならば、そこまで大きいものではないので、大容量のメモリーカードがあれば、結構色々見れると思います。
他の 東芝 RD シリーズでは同様なことが可能かと思いますが、他社の DVD レコーダーでは低ビットレートの映像にリニア PCM の音声を組み合わせることが出来ないものもあるようです。(Panasonic DMR-E200H 等)
また、DVD ビデオや、PC でキャプチャした MPEG-2 データについても低解像度、低ビットレート、リニア PCM ならば、そこそこ普通に再生できるのではないかと思います。
基本的に同様だとは思いますが、CPU パワー、メモリ、カーネル設定、ビデオチップ等の差異により、SL-C760 と同等のパフォーマンスで再生できるかどうかは判りません。
それ以前に SL ザウルス単体で DVD-RAM なり、DVD-ROM なりをドライブを接続して読み出すことができれば、PC 等のお世話にならなくても済むので便利なんですが。
MPlayer(Kino2)の設定を変更して、再生パフォーマンスがよくなる指定を行えば良いはずです。具体的には -dr -double -vo fbdev:vidix 等を指定するといった具合です。さらに阿川さんの MPlayer のフロントエンドとして Kino2 を使う方法もありますが、一部オプションの動作が違うため、おすすめできません。
あとはアプリケーションの高速起動を片っ端から外して、メモリを確保する。カーネルを最新もしくはスペシャルカーネルなどに入れかえる。ソフトウェアによる操作で CPU クロックを上げる等が考えられます。
一番楽なのは SL ザウルス本体で MPEG-2 データを再生しやすい動画データに再エンコードできれば便利でいいんですが。