SL-C3200ファーストインプレッション


パッケージ外観


 諸事情で発売日から遅れること一週間。ようやく、手元にSL-C3200が到着致しました。
 と言うことで、遅ればせながら恒例のファーストインプレッションの方をまとめてみました。

 ただ、今回のレポートをまとめるにあたっては、前モデルとなるSL-C3100/1000について、個人的に殆ど触れる機会が無いままに、SL-C3000からの乗り換えとなりました。そのため、内容の一部につきましては、SL-C3200固有の話ではなく、SL-C3100/1000の時点で搭載された機能もあるかと思います。あらかじめ、ご了承下さい。



@外観

 基本的にSL-C1000、3100と同じ筐体が使用されています。
 配色は表面がシルバー。底面は1000や3100等と同様のブラックとなっています。
 キーボ−ドの周りも黒く縁取られており、随所でC型の初代機SL-C700を彷彿とさせます。

正面 正面
背面 背面

 ただ、同じシルバーでも、SL-C700のシルバーが純粋なメタリック調だったのに対し、SL-C3200はグレー地の上にラメを吹き付けたような仕上げになっています。

ラメまで見えるかな?(^^;) SL-C700との対比

 実際の所、SL-C3000/3100/1000と同じ筐体なので、決して小さくは無い筈なんですが、SL-C700と同じ配色の上に、底面が黒なんで、ぱっと見かなり薄く見えます。


 ちなみに、キートップの色はC3100と同様のグレーですが、Fnキーは青になりました。従来機種でも、青く縁取りはされてましたが、キー自体が青ってのは、何気にSL-C860以来だったりします。

青いFnキー 青いFnキー

*2006/03/27 追記

 改めて確認したところ、SL-C3100のFnキーも青であることが分かりました。
 前述の通り、SL-C3100に関しては殆ど触れる機会が無かったこともあり、チェックが甘くなっていたようです。申し訳ありません。ご指摘頂いた藤田健一さまには、改めて御礼申し上げます。
 ちなみに、他の機種のFnキーの色を確認してみると、それぞれ

となっていました。ちなみに、SL-B500も一応青になりますね(笑)。


@添付品

 いつもの説明書と、はじめにお読みください、さらにこれはSL-C3100からだと思いますが、コンテンツガイドと言う冊子が添付されました。
 CD-ROMも遂に三枚組になっています(^^;)。
 また、SL-C3100と同様ヘッドフォンも標準添付されています。

添付品一式 添付品一式


@マイクロドライブ

 周知の通り、4GBから6GBに増量されました。
 これまで同様、HITACHI製のマイクロドライブが使用されており、底面のHITACHIのロゴシールも健在です(笑)。

ロゴシール いつものロゴシール


@内蔵ソフトウェア

 ソフトウェア周りは後述のTextToSpeech以外、基本的にはSL-C3100と同様の構成です。
 そのため、正直ソフトウェア面での変更はぱっとしない感がありますが、実際は色々と細かい部分で手が入れられています。
 特にフォトストレージは、先ごろ公開されたVer.1.02よりもさらに新しい、Ver.1.1が搭載されています。2006/03/24現在、この最新版フォトストレージはSL-C3200でしか利用出来ません。


・TextToSpeech

 今回、唯一追加された新規アプリケーションです。

 TextToSpeechはNuance社RealSpeak Soloと言う発声エンジンを使用した音声合成ソフトです。メーカーHPを見る限りでは、結構色々なところで採用実績があるようです。
 SL-C3200と同様のPDAや、カーナビでの採用例の他、PC用ソフトでは同社のDragon NaturallySpeaking 2005PanasonicVoice Editing等でこのエンジンが利用されているようです。

 早速、動作テストをしてみたところ、結構流暢に英文を読み上げてくれました。
 ただ、残念ながら、SL-C3200に搭載されたTextToSpeechは英文以外には対応していないようです。実際に、日本語の文章を読み上げさせてみたところ、下記の画面のエラーとなりました。

発声エラー 発声エラー

 軽くソフトの構成を調べてみたところ、実行ファイルの本体は/usr/QtPalmtop.rom/bin/texttospeechになるようです。
 さらに、/home/QtPalmtop/etc/speech/components/data/以下に下記のファイルが収められています。

  /home/QtPalmtop/etc/speech/components/data/

   us_jennifer_r40_83swf11_04.dat
   vf_jennifer_r40_83swf11_110_04.dat

 これらのファイルが、恐らく発声エンジンの発話データ(辞書)ファイルになるのでは無いかと思われます。

 ちなみに、RealSpeakでは発話データ(辞書)毎に話者名が名付けられています。ファイル名を見る限りでは、SL-C3200の中の人のお名前はジェニファーさんとおっしゃるようですね(笑)。
 RealSpeak Soloそのものは多言語に対応した発声エンジンですんで、各言語の中の人・・・もとい、発話データファイルを導入することで、多言語に対応出来る可能性はあるのでは無いかと思われます。

 なお、実際の発声については、Nuanceのページにて、体験ページが用意されていますので、そちらで試してみると良いでしょう。
 この体験ページでは、実際にSL-C3200に搭載されているのと同じ発話データ「English,U.S. Jennifer」も登録されていますので、ほぼSL-C3200実機と同様の音声合成を体験することが出来ます。


・データベース

 今回、個人的に非常にヒットしたソフトです。
 以前から、単体販売もされていたアプリケーションですが、これまで個人的には、正直なところ余り使えないと言う印象が拭えませんでした。
 ソフト単体としての動作は、必ずしも悪いものでもないのですが、元々がMIザウルス用ソフトの流れを汲んでいることもあり、データファイルはSHARP独自のデータ形式で格納されます。
 一応、汎用的なデータベース形式であるCSVデータの入出力機能も用意されてはいたのですが、これが何かと制限が多く、出力はともかく、入力に関しては殆ど使えない状態でした。
 そのため、他との連携が非常に取り辛く、結果として利用する状況が非常に制限されていたのです。

 しかし、SL-C3200にも搭載されているVer.1.1.3になって、従来のCSVの読み書きの他、別途メニューに「データベースの読み込み」と言う項目が追加されました。

データベース データベースの読み込み

 これは、別形式のデータベースのインポートを行うもので、ここからCSVファイルを読み込むと、任意のレコードを好きなフィールドに割り付けてインポートすることが出来ます。

フィールドの割付 フィールドの割付

 この機能の追加によって、他の環境とのデータのやりとりが非常に簡便になりました。

 基本的にカード型データベースであるため、Hancom SheetやExcel等のように一括したデータの編集には不向きではありますが、個別のデータの扱いは比較的自由度が高く、また登録データベース間の串刺し検索等にも対応しています。

 ソフトそのものの動作が非常に軽快な上、高速起動にも対応しているため、アプリケーションとしての遣い勝手も非常に良く、個人レベルで使うデータベースソフトとしては十二分に使えるソフトに仕上がっていると思います。

*2006/03/27 追記

 改めて、確認したところSL-C1000、SL-C3100に内蔵されているデータベースソフトもSL-C3200のものと同一のバージョンであることが分かりました。
 また、現在Sharp Space Town for Zaurusにて単体販売されているデータベースも同一のバージョンとなっており、こちらを購入することで、SL-A300、SL-B500、SL-C3000、及びSL-C700等の三桁型番のSL-Cシリーズでも利用することが出来ます。
 ただ、このデータベースソフトの販売については2006年3月をもって提供終了予定となっています。興味を持たれた方はお早目の入手をお薦め致します(^^;)。


・メールソフト

 厳密には、SL-C3200では無く、SL-C3100からの追加機能となりますが、メールの選択受信が可能となりました。
 これは、メールの本文全てを受信するのではなく、メールのヘッダ部分のみを受信し、取得するメールを選択することが出来ると言うものです。
 また、取得だけでなく選択したメールの削除を行うことも出来ます。

選択受信 選択受信画面

 Zaurus標準のメールソフトは必ずしも軽快なものではありません。また3MBまでの受信サイズ制限のことも考えると非常に有難い機能追加と言えます。
 実際に受信動作を行ってみたところ、非常に軽快で格段にメールソフトの利便性が向上しました(^^)。


・その他、カーネルバージョン等について

 Qtopiaのバージョンは従来通り1.5.4。
 Linuxのカーネルバージョンは2.4.20で、これはSL-C3000以降共通のカーネルです。

システム情報 システム情報

 また、既に文市さん等から報告が上げられていますが、これまで非対応であった2GB、4GBのSDカードに対応しているそうです。
 残念ながら、私の手元にはこれらの容量のSDカードが無いので、実際の動作テストまでは行なえませんでしたが、実際にMMC/SD関係のカーネルモジュールを見てみると

  /lib/modules.rom/2.4.20/kernel/drivers/block/sharp_mmcsd_m.o

   SL-C3000 = 67418 byte
   SL-C1000 = 67418 byte
   SL-C3100 = 67418 byte    <--- *2006/03/27追記
   SL-C3200 = 67530 byte

と、四桁型番のSLザウルス中、SL-C3200のMMC/SDメモリカードモジュールのみ、バイナリサイズが異なっていることが分かりました。確かに何がしかの改変は行われているようですね(^^)。


@総論

 正直なところ、今回のSL-C3200は仕様だけでみると、マイナーチェンジの感は否めません。実際、それは必ずしも間違ってはいないと思います。
 ただ、マイナーチェンジではあっても、MMC/SDメモリカードのカーネルモジュールの例でも分かるように、随所でしっかりと手が加えられており、実際に使用してみると、これまでの細かな不具合や不満が解消されていることが分かります。
 前述の通り、私は今回、SL-C3000からの乗り換えとなるのですが、正直乗り換えただけの価値は十分に感じられ、非常に満足しています(^^)。


このページの文責: TAKETYON

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