SII DAYFILER DF-X8000ファーストインプレッション


パッケージ外観 パッケージ外観

 と言うことで、装いも新たにSIIから発売されたAndroid 電子辞書 DAYFILERのファーストインプレッションをお届けします。
 今回、発売日(2013/01/25)に購入したのは下位モデルのDF-X8000。
上位モデルのDF-X9000との違いは、基本的には本体色と内蔵している辞書コンテンツの差異になります。
 一般販売モデルの他、大学生協向けに以下のモデルが発表されています。

 本体スペックについては各機とも基本的に同一と思われます。
 ただ、そもそもCPUやメモリ容量等、主要スペックは公式では特に明記されていないため、正確なところは不明です。
 手元のDF-X8000で確認した限りでは、

CPU:Freescale i.MX53 1GHz(ARM v7互換)
GPU:AMD Z430
メインメモリ:329MB
内蔵フラッシュ:2GB (システム領域 1GB / ユーザー領域 1GB)

となっています。メモリの数値が微妙に中途半端ですが、これはオンボードで512MB積んでてVRAMにいくらか取られてるパターンかな?。

 いずれ、バリエーションモデルを触る機会があれば是非ともスペック比較してみたいところです。

・参考ファイル
 dmesg_dfx8000.txt
 df_dfx8000.txt
 mount_dfx8000.txt


@内容物(添付品)

パッケージ内容 パッケージ内容

 パッケージは割とシンプル。思ったよりもずっとコンパクトにまとまっています。
 内容物は以下の通り。
内容物一式 内容物一式

 内容物のほとんどは見ての通り説明書の類です。
 但し、これらの説明書はあくまでもスタートアップガイドと言う位置づけに過ぎず、詳細な説明書は本体内にPDFファイルとして収録されています。
 DAYFILERは標準でPDFリーダーも搭載しているので、そのまま参照することが出来ます。

「ツール」−「その他」ー「取扱説明書」
取扱説明書 取扱説明書

説明書PDF 説明書PDF


@外観

本体外観 本体外観

 本体サイズは146x108mmと言うことでほぼ文庫本サイズ。
 これは従来のSII電子辞書 GシリーズやSシリーズとほぼ同じサイズです。
 キャンペーンで配布された純正セミハードケースも対応表で分かるように特にDFシリーズ用に新規に造られたものではなく、従来からのオプション品です。

 本体上部(液晶裏側)のカバーはアルミ製。
 本体重量は公称360gと言うことで持った感じは割と重さを感じます。
 重さ自体もさることながら、パーツバランス的に液晶側に重さが偏っているため、長時間手に持って使うのはちょっとシンドいかもしれません。

 本体の右側面にはボリューム調整ダイヤルとイヤホンジャックがあります。
右側面 右側面

 ボリューム調整ダイヤルはセンターが押し下げ出来るタイプで、標準では搭載プレイヤーの再生/一時停止ボタンに割り振られています。
 また、音量(小)と電源ボタンを同時に長押しすることで画面のスクリーンショットを取ることが出来ます。
 これはAndroidの標準機能で、撮った画像は/sdcard/Picture/Screenshots/に保存されます。

 本体左側面には ストラップホール、MicroUSB端子、MicroSDカードスロットがあります。
左側面 左側面

 充電もこちらのMicroUSB端子を用います。
 動作中の給電は割とシビアなようで、元の電圧が2A出ていなかったり、安物のケーブルを使ったりすると充電が追いつかないことが多々あります。
 逆に完全に電源を切った状態であれば、1A出力のACアダプタでも満充電まで充電することが出来ました。

 MicroSDカードは公式でSDHC 32GBまでの対応となっています。
 試しにFAT32でフォーマットしてある手持ちのMicroSD 64GBを突っ込んでみましたが認識しませんでした。
 また、exFATやNTFSでフォーマットしたMicroSDカードも同様に認識しません。

 本体背面にはリセットスイッチがあります。
背面 背面

 また、スタートアップガイドのp8に記載の通りバッテリカバーのネジを外すことで内蔵充電池の交換も可能です
 バッテリーカバーを開けると、なにやら謎の端子がある模様。今後が楽しみです(笑)。

 液晶ディスプレイはTFTカラー 静電容量タッチパネル。
 普通に綺麗ですが、光沢液晶なので屋外で使うと照り返しが気になるかもしれません。
 解像度は800x480と言うことで、アスペクト比は5:3。16:9画を横一杯に表示させた場合には縦が30pixel程余る計算になります。
 液晶部はほぼ180度まで開くことが可能です。
液晶全開 液晶全開


 キーボードの手前にはステレオスピーカーが配置されています。音質はそこそこ。
キーボード キーボード

 キーの総数は電源ボタンまで含めて48キー。右側面のボリュームボタンを加えても51キーしかありません。
PC感覚で見るとどうしてもキー配列が気になってしまいますが、電子辞書的には「キャンセル」と「OK」ボタンが下部センターに来るのは割とスタンダートな配置かな?。

 キータッチは非常に良好です。実際にテキストを打ってみると意外と配列が気にならないのはこの快適なキータッチに拠るものだと思います。
 ただ、数字や特殊文字を打つために逐次モード切替が必須になってしまうのは、さすがに少々面倒です。
このへんのキーアサインが変更出来れば良いんですが。

 最後にオマケとしてZaurus(SL-C760)との対比写真。
Zaurusとの比較1

Zaurusとの比較2

 液晶サイズからして違うんで、こうやって並べるのもアレなんですが、まさに大人と子供と言った感じです(笑)。


@辞書コンテンツ

 今回購入したDF-X8000には以下の辞書コンテンツが収録されています。
 単純計算で合計52冊分にも及びます。
 と言っても、一部のコンテンツについては書籍版が存在しないもの、内容や図版などが省略されたり分冊されていたりするものもありますので一概に比べることも出来ない訳ですが。
 それでも、これらの辞書単体を揃えるだけで軽く本体の定価を上回るのは想像に難くありません。
 まぁ、ぶっちゃけ昨今の電子辞書事情には疎いもので、今時はこんなものなのかもしれませんが。

 しかし、当時頑張ってHP100LXに光の辞典等を入れてた頃からすれば、質、量ともに隔世の感がありますね。
 ちょっとした単語の意味を調べる程度であれば、ネット検索で充分事足りてしまうのが現状です。とは言え、やはりこれだけしっかりした辞書を手元に持ち歩けるのは心強いです。
 地下街などなんだかんだで圏外になってしまう場面もまだまだありますし。

 ちなみに上位機種となるDF-X9000との差異は以下の通りとなります。

・DF-X9000にのみ収録
・DF-X8000にのみ収録
 見ての通りで、実はDF-X8000にしか収録されていないコンテンツもあったりします。
 \5,000の値段差に見合うだけのコンテンツ差は充分にあると思いますが、単純に上位・下位と言うよりも、あくまでも目的別に分かれていると捉えるべきでしょう。

・参考ファイル
 diclst_dfx8000.csv
 diclst_dfx9000.csv


@アプリケーション(apk)の追加

 Androidアプリケーションの追加は普通に行うことが出来ます。
 具体的なインストール手順等に関してはこちらにまとめました。

 割とクリティカルな動画プレイヤー等も問題無く動作します。
 標準でroot権限はさすがに許可されていないようですが、IMEやホーム画面等のシステム系アプリのインストールについても問題無く行えます。
ADW Launcher ホーム画面変更(ADW)

nicoWnnG 言語と入力の設定(nicoWnnG)

gEditor nicoWnnGで日本語入力(gEditor)

MX動画プレイヤー 動画再生(MX動画プレイヤー)


@rootについて

 とりあえず、軽く触ってみた限りでは標準でroot権限を取得することは出来ません。
 suのバイナリ自体は/system/xbinに存在はしていますが、uidのチェックではねられてしまいます。

 また、標準ではadbdが動作していないためadb接続を行うことも出来ません。
 adbdのバイナリ自体も見つかりませんが、/sbinのパーミッションが710なんでこっちは見えないだけかな?。
 このへんは今後の進展に期待ってところですね。

・参考ファイル
 lsroot_dfx8000.txt


@端末初期化

 辞書データ・設定の初期化は

「メニュー」−「ツール」−「設定」−「辞書環境設定」
「単語帳・履歴・設定消去」

で行えます。
辞書環境設定 辞書環境設定

単語帳・履歴・設定消去 単語帳・履歴・設定消去

 端末全体の初期化を行う場合は

「メニュー」−「ツール」−「システム設定」
「ユーザー設定」−「詳細」
「バックアップとリセット」
「データの初期化」

で行います。
データの初期化 データの初期化

 ただし、どちらの場合でも端末管理者のユーザ情報は初期化されません。
 一旦、管理者名とパスワードを登録してしまうと削除も出来なくなります。変更は可能ですが、名前やパスワードを空欄にすることは出来ません。
 ユーザ情報の初期化は、取扱説明書p128の記載によるとメーカー修理扱いとなります。
 普段使う範囲では端末管理者の登録が必要になる場面は余り無いので、そもそもユーザ情報の入力をする必要性もさほど無いのですが、端末を手放す際や中古品などを購入する際には注意が必要かと思われます。


@総論

 久々のハードウェアキーボード付Android端末、しかも5インチクラス。
 と言うことで、発売前からかなり期待していた製品ですが、予想以上に使える機体に仕上がっています。

 正直、Android端末として使うにはもう少し手間が必要になるかと覚悟もしていたんですが、蓋を開けてみれば思った以上にずっとハードルが低かったです。
 ここまで普通にすんなりと、良い意味でユルユルに素のAndroidが使えるとは思っていませんでした。

 ホーム画面アプリを入れることで、より汎用のAndroidライクに使うことも出来ますが、標準でもちゃんとアプリランチャにアクセス出来るため、素のままでも使うのも割と苦になりません。
 なまじ収録している辞書コンテンツが豊富な分、辞書メインで用いるのであればデフォルトのままで使うのもおすすめです。

 ハード的には従来のSII電子辞書を踏襲しているようで、実際発売前に試用したSR-G9003NH3と筐体やキー配置などはほぼ同様に見えます。
 そういう意味では決してポッと出の製品では無く、カイテキー等これまでSIIが培ってきた従来品の良さをそのまま活かした由緒正しき製品だと言えます。
 反面、今回のDFシリーズは大型のフラッグシップモデルの後継と言う位置付けの機種になりますので、レビューの中でも触れた通り手に持って長時間使い続けたりするのには少々ヘビーです。
 なので、個人的にはもう一回り小さなSR-G6001M-NH2クラスの筐体を流用したモデルなんかが出れば最高なのですが(笑)。


このページの文責: TAKETYON

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